2012年ロンドンオリンピックが閉幕しました。
あまりじっくり観戦もできなかったのですが、それでもついつい見てしまう、熱が入ってしまうのがオリンピック。
● ロンドンオリンピック Yahoo!スポーツ×スポーツナビ
● ロンドンオリンピック2012 - JOC
● NHK ロンドン2012オリンピック
● gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
● 2012ロンドン五輪 - 毎日jp(毎日新聞)
● goo ロンドン五輪特集

男子体操は内村航平選手が個人総合としては具志堅幸司選手以来の日本人28年ぶりの見事な金メダル。
あん馬ではハラハラさせられましたが。
具志堅氏の言葉が印象的でした。
「体操は6種類揃ってこそのオールラウンダー」
中国は団体で金を獲ったというのに、それぞれの得意な種目別に絞って個人総合には一人も出ていないという偏りが見られました。
フィギュアスケート脳の自分にはどうしてもそちらに置き換えて考えてしまいます。
トリプル6種類・・・いや、バランスの取れたトリプル5種類をキッチリ決められる演技が見たいよ。
あ、女子フィギュアスケートの話です。
内村選手はオリンピック前に
「プレッシャーを感じたことがない、
プレッシャーがどういうものかわからない」
と大物らしいコメントをしていましたが、どんなに心臓に毛が生えているような人間でも“金を獲って当り前”、“絶対的金メダル候補”、と見られ過度な期待をかけられ、どこかに見えないプレッシャーと重圧はやはりあったように感じられました。
プレッシャーを感じずに追う立場で楽しくやれていた頃とは違う。
そんな中で彼なりに苦しみながらも掴んだ価値ある重みのある金メダル。
団体戦は自分のミスがチームの成績にダイレクトに響く。
みんなで戦うから何もかも自分の好きなようにとはいかない。
チーム全体のバランスを考え誰かがミスをすれば別の選手が補い、確実に点をとっていかなければならない。
ミスを引きずらないように。ミスの連鎖が起こらないように。
試合運びを見極めながらチームのために今自分ができる堅実さが求められる。
その体操男子団体や柔道、ボクシング等で審判の不手際がクローズアップされてしまった大会でもありました。
4年に一度のこの大舞台にかけている選手にとってはこの瞬間は今しかない。
真剣勝負に対しては真摯に公正な審判・判断を下すのが常識であるはずなのに、利権や政治が介入するとこういう事が起こってしまう。
競技のルール改正に伴う変更がこんな大事な試合でもたつきを見せてしまったのは非常にいただけなかった。
そんな中、IOCの英断によりバドミントンの無気力プレイに対し4組に失格処分が下されました。
スポーツ精神に反する4組の行動と、日本の藤井・垣岩ペア対中国ペアの白熱した試合との対比が際立ちました。
バドミントンという競技に対する信用を一気に墜落させかねない危機感があの試合内容に繋がったのではないかと思えました。
失格になった選手や国を叩く事は簡単。特にネットの上ではね。
だけどその前に、そういう決断はコーチの指示なくしてはありえないという風には考えないのかなぁ。
「康介さんを手ぶらで帰すわけにはいかない」
って、これ、ドラマのセリフじゃないから心に響くんだよなぁ。興奮する。
今大会、北島がメダルなしに終わっていたとしても彼のこれまでの偉業が霞むわけではないけど、ロンドン五輪という大会は今この時だけ。
きっと水泳チームジャパンみんなで掴み取った銀メダルなんだね。
銀色をした輝く金メダル。

街には地元出身の選手を応援する張り紙、横断幕、
日本のオリンピック放送は当然日本選手中心の報道。
始まってみればやっぱり自分も「がんばれニッポン」
競技によっては金以外は敗北同然だったり、結果が出せなかった選手には容赦なく「惨敗」と書かれたり。
今大会、オリンピックで日本選手が獲得したメダルの総数は38個と史上最多となりました。
凄い事ではあるんだけど、誰かがメダルを獲ったというニュースが流れれば「やったー!」「おめでとう!」って思うんだけど、柔道関係者は今とても大きな危機感を持っていると思うし、大会前に評価がほぼ固まってしまうといわれるシンクロの報道は今大会はかつてないほど寂しいものだった。
やっぱりいつの時代も「日本人はメダルきちがい」なのかなぁ。
ほとんどが4年に一度のこの時にしか見ていない競技に対して。
それでも
「メダルを獲ってこの競技をより多くの人に知ってもらいたい、
広めたい」
という明確な意思を持ってこの大会に臨んでいる選手がいる。
被災地にメダルを持って帰るんだという強い決意を胸にプレーした選手がいる。
だけどこの特別な舞台に立てるのはほんのひと握り。
そんな特別な舞台で必ずしもいつもの練習通りにやれるとは限らない。
NHKの女子アナだったかが結果が出なかった選手に対して「まだ若いですからね(次がありますよ)」といった言葉を発した時には、そういう言葉は軽々しく言うものではないと思ってしまいました。
10代半ばで初出場、その後伸び悩んだり故障したりでそれっきりっていうケースなんてザラ。
その選手の努力と運と、競技によっては資金面・練習環境での苦労もある。
4年に一度。4年って長いなぁ。
オリンピックってやっぱり大きいなぁ。特別。
女子レスリングはオリンピック3連覇という大偉業以上に「家族の絆・支え」「敗北・屈辱からの脱却、葛藤、挑戦」について深く考えさせられた。
オリンピックでは階級が飛び飛びに抜け落ちているという問題についても。
教科書や教則本では得られないものがここにはたくさん詰まっていた。

4月下旬に2012年・国別対抗戦の今とこれからを考えるという記事で2014年ソチ五輪から正式種目になるフィギュアスケートの団体戦の話を書きました。
団体戦の躍進が際立ったロンドン五輪を見ながら、ソチ五輪でのフィギュアスケート団体戦はどうなるんだろうなぁ、という思いが時々頭を過ぎりました。
そう、団体戦が導入される2014年ソチオリンピックはフィギュアスケート界にとっては大きな転換期になるでしょう。
団体戦を戦うのが当たり前の競技と何もかも置き換えて考えるものではありませんが、種目として採用されたからにはこういった他競技の試合から心理面・戦術のヒントを得ていってもいいのではないでしょうか。
一人だけでは戦えない団体戦はチームの結束力が大きな鍵となってきます。
皆が一丸となって同じ目標に向かって力を合わせる、
和の力はプラスの相乗効果を産み出し普段持っている以上のパワーを引き出してくれる、
そんな光景をロンドンでは沢山見せてもらいました。
フィギュアスケートではどうでしょう。
簡単に「みんなで力を合わせて頑張ろうよ!」と口にするにはあまりにも課題がありすぎて同系列には語れません。
● 猫ひろし騒動で露呈した国籍変更問題 五輪出場で国籍を変える選手たちの悲哀 - サイゾーpremium
ペアのマーヴィン・トラン選手の国籍変更問題は現時点では大きな動きはありません。
上のウェブニュース、マーヴィンと猫ひろしを同等に扱ってほしくはないけど、マーヴィンが国籍を変更したいと言い出すにはあまりにも残された時間が少なく時遅しの感は否めなかった。
簡単に決断できるような問題ではなかったことを差し引いても。
今後乗り越えなければならない壁は高く険しいように思われます。
あっという間に一年半後はやってくるでしょう。
当然今シーズンはソチを視野に入れた戦いになってくる。
フィギュアスケートにとっては新しい扉が開く。
「団体戦っていいなぁ」というのがオリンピックにおけるフィギュアスケートで言えるのかどうかは今はまだ何もわからない。

なでしこジャパンは大躍進とはいえ、長い間不遇の時代があった。
ワールドカップで優勝、オリンピックで銀メダルを獲得した今、どれぐらいの環境改善が今後見込めるのだろう。
● 女子ソフト42年ぶり世界一。五輪前に健在をアピール。~北京から4年で変わったこと~ - Number Web : ナンバー
残酷なまでの厳しい現実。
「オリンピックだけが全てじゃない」と簡単には言えない。
競技を好きで続けるのが大前提だけど、大きな目標はより高みを目指す大きな原動力になるのだもの。
女子ソフトボール、正式種目に復活しますように。ぜひ。ぜひとも。
そしてなでしこジャパンもきっとこれに驕る事などなく、さらに上を目指していくことだろう。

敗者がいて勝者がいる。
どんな競技にもコーチや家族、スポンサー等の支えが不可欠。
それぞれの競技の強化体制を整える事も。
「心」は時には持ち合わせている「技体」以上のパワーを引き出してくれる。
心技体の「心」を普段から鍛える、メンタルトレーニングの重要性も感じた。
ナショナリズムを煽られて、時には利権や思惑が絡んで傷つく事態もあるけれど
どんなに練習を積んでもオリンピックだけはいつもとは違う別の重圧が掛かったり、逆に普段絶対出せないような奇跡が起こったり
年齢とともにトレーニング方法を変えたりピークを合わせたり
結果を残せた選手もそうでない選手も
スポーツは人間にとって大切なものをたくさん与えてくれる。
筋書きのないドラマだから、作り物なんかじゃない本物のドラマだからこそいつでも惹きつけられる。
ありきたりの言葉だけど「感動をありがとう」って素直に思える大会だった。
ほとんどの選手が真っ先に口にした
「支えてくれる人達がいたからここまでやれた」
という感謝の言葉。
大きく取り上げられた選手だけでなく、どんな選手にもそれぞれ支えてくれた人々がいて、それぞれのドラマがあってこの舞台に立てたのだと思うとまたまた胸が熱くなるんだよなぁ。
スポーツっていいね。結果よりも過程が大事、か。
オリンピックを見て競技を知って興味を持って、ちびっ子がそれをきっかけにスポーツに取り組む。
後輩は先輩の頑張りを見て奮起する。
オリンピックは競技の底辺拡大に大いに貢献する。
一年半後の冬期ソチオリンピック、どんなドラマが待っているのだろう。
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