2013-09-03

ラフマニノフピアノ協奏曲第二番の冒頭を聴き比べしてみた その1


フィギュアスケートにおけるラフマニノフピアノ協奏曲第二番 その1という記事をこのブログを始めてから二ヶ月目の時に書いてから早三年。
フィギュアスケートでよく使われるこの曲についての記事をいくつか書き進めると同時に様々な演奏スタイルに触れ、言葉でうまく説明できない部分を動画にしたらわかりやすいかなぁという思いが浮かんで今回時間をかけて動画を制作、それを記事としてまとめたものであります。



ピアノ協奏曲第2番 (ラフマニノフ) - Wikipedia

第1楽章
モデラート、ハ短調、2分の2拍子、ソナタ形式。ピアノが鐘の響きを模した暗く荘重な和音を弾く序奏で始まり、主部は男性的な第1主題と、感傷的な第2主題によるソナタ形式で書かれている。再現部は行進曲風のリズムの上に弦楽器によって両主題が呼び戻される。コーダは懐旧的な雰囲気が醸し出される中、最後は力強く閉じられる。



まずは動画、
Rachmaninov Piano Concerto No.2 Op.18-1: Comparison between 20 different performances をご覧ください。
この動画を元に話を進めていきます。



ニコニコ動画版

ニコ動版はYouTube Vimeoと動画の中身は同じですが、ニコ動のアップロード制限に合わせてエンコードし直しているので画質音質ともにやや下回ったものになっています。
こちらは各ピアニスト・指揮者・オーケストラ名を投稿者コメントで動画下部に日本語で表示させましたので、それぞれ見やすい方聴きやすい方を選んでご覧ください。

クラシック音楽資料館 ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番ハ短調
クラシック音楽の演奏家一覧 - Wikipedia
極上クラシック - YouTubeで動画を検索・視聴(試聴)
クラシック音楽人名辞典 フリー素材
総合資料室/一世による歴史的ピアニスト紹介


各ピアニスト名の終りに付けたタイムは上記の17ピアニスト20種類の演奏動画の中での再生時間です。そのタイムからYouTubeの動画再生が始まるようリンクさせてあります。
YouTubeの動画がブロックされたのでVimeoに再アップしました。タイムは動画の再生時間の参考にされてください。




1. セルゲイ・ラフマニノフ
 (Sergei Rachmaninov, 1873年4月1日 - 1943年3月28日)
  ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者。
 (00'10~01'21")

ラフマニノフ:自作自演~ピアノ協奏曲第2番&第3番

ラフマニノフ:自作自演~ピアノ協奏曲第2番&第3番
セルゲイ・ラフマニノフ(Pf)
指揮: レオポルド・ストコフスキー
演奏: フィラデルフィア管弦楽団
1929年録音

 

2.コチシュ・ゾルターン(Kocsis Zoltán, 1952年5月30日 - )
  ハンガリーのブダペスト出身のピアニスト・指揮者・作曲家。
 (01'22"~02'30")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
コチシュ・ゾルターン(Pf)
指揮: エド・デ・ワールト
演奏: サンフランシスコ交響楽団



3. スビャトスラフ・リヒテル
 (Sviatoslav Richter、1915年3月20日 - 1997年8月1日)
  ソビエト連邦のピアニスト。
 (02'31"~04'03") クルト・ザンデルリング指揮 (Sanderling)

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲 第1番&第2番、前奏曲 (Rachmaninov : Piano Concertos Nos.1 & 2, Preludes (4) / Svjatoslav Richter, Kurt Sanderling) [SACD Hybrid] [輸入盤]
ラフマニノフ: ピアノ協奏曲 第1番&第2番、前奏曲
[輸入盤] [Hybrid SACD, SACD, Import]
スビャトスラフ・リヒテル(Pf)
指揮: クルト・ザンデルリング
演奏: レニングラード・フィル
1959年2月2日録音

 

4. スビャトスラフ・リヒテル
 (Sviatoslav Richter、1915年3月20日 - 1997年8月1日)
  ソビエト連邦のピアニスト。 
 (04'04"~05'29") スタニスラフ・ヴィスロツキ指揮 (Wislocki) 

チャイコフスキー&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲、他
チャイコフスキー&ラフマニノフ:ピアノ協奏曲、他
スビャトスラフ・リヒテル(Pf)
指揮: スタニスラフ・ヴィスロツキ
演奏: ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団
1959年録音



5. アレクシス・ワイセンベルク
 (Alexis Weissenberg, 1929年7月26日 - 2012年1月8日)
  ブルガリアのソフィア出身のピアニスト。
 (05'30"~06'56")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
アレクシス・ワイセンベルク(Pf)
指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1972録音



6. ヴァン・クライバーン(Van Cliburn、1934年7月12日 - 2013年2月27日)
  アメリカ合衆国のピアニスト。
 (06'57"~08'18")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
&ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ヴァン・クライバーン(Pf)
指揮: フリッツ・ライナー
演奏: シカゴ交響楽団
1962年



7. アルトゥール・ルービンシュタイン
 (Arthur Rubinstein, 1887年1月28日 - 1982年12月20日)
  ポーランド出身のピアニスト。
 (08'19"~09'30")

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲

ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番&パガニーニ狂詩曲
アルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)
指揮: フリッツ・ライナー
演奏: シカゴ交響楽団
1956年録音

 

8. アルトゥール・ルービンシュタイン
 (Arthur Rubinstein, 1887年1月28日 - 1982年12月20日)
  ポーランド出身のピアニスト。
 (09'31"~10'47")

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
アルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)
指揮: ユージン・オーマンディ
演奏: フィラデルフィア管弦楽団
1971年録音

 

9. エフゲニー・キーシン(Evgeny Kissin, 1971年10月10日 - )
  ロシアのピアニスト。
 (10'48"~12'14")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&音の絵 
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&音の絵
[Limited Edition]

エフゲニー・キーシン(Pf)
指揮: ヴァレリー・ゲルギエフ
演奏: ロンドン交響楽団
1988年録音

 

10. イェフィム・ブロンフマン(Yefim Bronfman, 1958年4月10日 - )
  ロシア系イスラエル人ピアニスト。
 (12'15"~13'35")
 
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第3番 

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第3番
イェフィム・ブロンフマン(Pf)
指揮: エサ=ペッカ・サロネン
演奏: フィルハーモニア管弦楽団
1990年録音

 

11. ウラディミール・アシュケナージ(Vladimir Ashkenazy, 1937年7月6日 - )
  ソヴィエト連邦出身のピアニスト、指揮者。アイスランド国籍スイス在住。
 (13'36"~15'01")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1~4番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1~4番
ウラディミール・アシュケナージ(Pf)
指揮: アンドレ・プレヴィン
演奏: ロンドン交響楽団
1970年録音

  

12. ウラディミール・アシュケナージ(Vladimir Ashkenazy, 1937年7月6日 - )
  ソヴィエト連邦出身のピアニスト、指揮者。アイスランド国籍スイス在住。
 (15'02"~16'24")

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番ハ短調&第4番ト単調

ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番ハ短調&第4番ト単調
ウラディミール・アシュケナージ(Pf)
指揮: ベルナルト・ハイティンク
演奏: アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
1984年録音

 

13. エレーヌ・グリモー(Helene Grimaud, 1969年11月7日 - )
  フランスのピアニスト。
 (16'25"~17'46")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、≪音の絵≫から 他

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、≪音の絵≫から 他
エレーヌ・グリモー(Pf)
指揮: ヴラディミール・アシュケナージ
演奏: フィルハーモニア管弦楽団
2000年&01年録音



14. 辻井伸行(つじい のぶゆき、Nobuyuki Tujii, 1988年9月13日 - )
 (17'47"~19'17")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(DVD付) 

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(DVD付) [CD+DVD]
辻井伸行(Pf)
指揮: 佐渡裕
演奏: ベルリン・ドイツ交響楽団
2008年録音



15. クリスティアン・ツィマーマン(Krystian Zimerman、1956年12月5日 - )
  ポーランドのピアニスト。
 (19'18"~20'46")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番、第2番

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番、第2番
クリスティアン・ツィマーマン(Pf)
指揮: 小澤征爾
演奏: ボストン交響楽団
2000年録音



16. スティーヴン・ハフ(Stephen Hough, 1961年11月22日 - )
  イギリス出身のピアニスト・作曲家・作家。
  現在はオーストラリアと二重国籍。
 (20'47"~21'51")

Piano Concertos / Paganini Rhapsody
Piano Concertos /
Paganini Rhapsody [CD, Import]
スティーヴン・ハフ(p)
指揮: アンドルー・リットン
演奏: ダラス交響楽団
2004年録音



17. ヴァレンティーナ・リシッツァ(Valentina Lisitsa, 1969年12月11日 - )
  ウクライナ生まれのピアニスト。現在、アメリカ合衆国に在住。
 (21'52"~22'58")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全集
ヴァレンティーナ・リシッツァ(Pf)
指揮: マイケル・フランシス
演奏: ロンドン交響楽団
2013年録音



18. ラン・ラン(Lang Lang〔中国語 :郎朗〕, 1982年6月14日 - )
  中国遼寧省瀋陽出身のピアニスト。
 (22'59"~24'36")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&パガニ-ニ狂詩曲

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&パガニ-ニ狂詩曲
ラン・ラン(Pf)
指揮: ワレリー・ゲルギエフ
演奏: マリインスキー劇場管弦楽団
2004年録音



19. ボリス・ベレゾフスキー(Boris Berezovsky, 1969年1月4日 - )
  モスクワ出身のロシアのピアニスト。
 (24'37"~25'56")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、第3番 (Rachmaninov : Concertos pour piano 2 & 3 / Boris Berezovsky - piano, Dmitri Liss - direction) [輸入盤・日本語解説書付]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、第3番
[輸入盤・日本語解説書付]
ボリス・ベレゾフスキー(Pf)
指揮: ドミトリー・リス
演奏: ウラル・フィル
2005年録音

 

20. ニコライ・ルガンスキー
(Nikolai Lvovich Lugansky, 1972年4月26日 モスクワ - )
  ロシアのピアニスト。
 (25'57"~27'26")

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第4番 

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第4番
ニコライ・ルガンスキー(Pf)
指揮: サカリ・オラモ
演奏: バーミンガム市交響楽団
2005年録音





動画は17ピアニストによる20種類の演奏となっております。
ラフマニノフの自作自演盤、名盤との評価が高いリヒテル×ヴィスロツキ、名ピアニストのルービンシュタインは外せませんでした。
録音年の古さによる音質が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、その時代の空気感というか味も感じ取っていただければ。
私自身まだ未聴のものもたくさんあり、他にも入れたかったピアニストの演奏はいくつかあったのですが、今回はこれ以上は飽和状態という事でご了承ください。

尚、ソースによってバラつきがあった音量をあちこち調節したため、多少の音割れがあったり少々音量が小さい部分もありますが、あくまでも参考動画であり上等の音質は見込めないことをご了承願います。




この楽曲において冒頭の鐘の音を模した和音をピアニストがどう表現し弾くかは最初の掴みであり、これからの展開を予測させられる重要なポイントでもあります。
この部分だけを聴いて
「あ、遅すぎる(速すぎる)から私の好みではないわ、聴くのやめよう」
と思いがちですが・・・

ちょっと待ったーーーーっ!!

それでは私がこれだけの動画を作った意味がないというものです。


一番最初に作曲者ラフマニノフ本人の古い演奏を、その次にラフマニノフ本人の演奏スタイルを踏襲した(ように感じられる)という評をよく見かけたコチシュ・ゾルターンを。
録音年による音質の違いは当然ありますが、コチシュは気持ちよく聴けます。

さらにスティーヴン・ハフやヴァレンティーナ・リシッツァは速いだけでなく、他では聴いたことのないような音が入っていてびっくりさせられましたがそれがかえって新鮮にも感じられました。

この動画の中ではスティーヴン・ハフが最速(爆速と言ってもいいくらい)、ラン・ランが激遅(!)です。
動画を作っている時に区切りの部分でタイムラインが見えるのでそのあまりの違いにびっくりさせられました。
ラン・ランは遅いのは冒頭だけです。極度に遅くして、後はその対比を楽しんでいるかのような。
リヒテル×ザンデルリング、ツィマーマンもたっぷり時間をかけて、しかしながら重厚に鳴り響く鐘の音は荘厳さを感じさせられます。

ラフマニノフ自身は12度(ドからソ)を押さえられるほどとても手が大きい人だったのですが、手の小さなピアニストはそうはいかないから分散和音(アルペジオ)でそれを表現、さらにそれぞれの演奏スタイルで音は変化します。
アルペジオ奏法のアシュケナージの音が耳に馴染んでる人は他のピアニストとの演奏の違いをより強く感じたかもしれません。

「これが好き!」と思っても別の演奏を聴くと「これもいい!」って思ったりもします。
遅すぎる演奏を聴いた後は速いものを求めたくなり、その逆もまたある。
最初に聴いた耳に馴染んだ音がその人にとっての理想の音・基準となりがちだけど、たまには違う味のラーメンも食べたくなるでしょ?

ピアニストでもあったラフマニノフ自身が演奏した音源が残されている、それだけでも凄いことです。
だけど作曲者の解釈イコール理想の演奏・正解というわけでは決してないと思うのです。
時代を経て様々な演者によって様々な表現・スタイルが作り出され進化していく、音楽とはそういうものであり、だからこそ私たちも「音を楽しむ」ことができるのです。

ラフマニノフがロシア正教の鐘の音をイメージしたという冒頭、弾き方(鳴らし方・響き)によって鐘の形状・大きさ・材質・宗教・国・気候・季節までもが違って感じられる、それもこの曲の魅力のひとつなのではないでしょうか。



次回は冒頭聴き比べを演奏動画で見て聴いてもらいます。
またお付き合いください。












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