
2014年10月14日 高橋大輔、引退表明
※ Webニュース、動画はこれから新しいものが出てくれば一部差し替え・追加していきます。
- 高橋大輔が引退表明「次の目標に進んでいきたいと決めました」 ― スポニチ
- 高橋大輔選手 引退表明会見をノーカットで | 日テレNEWS24
- フィギュア:「許してほしい」…高橋の引退会見詳報 - 毎日新聞
- 高橋引退「1、2年かけて次の目標探す」 - フィギュアニュース : nikkansports.com
- 東京新聞:高橋、表現の探求者 フィギュア界リードし引退:スポーツ(TOKYO Web)
近い将来にこの日が来ることはわかっていました。
「突然の引退・早すぎる引退」という報道も見ましたが、地元に戻っての決断・発表はいかにも彼らしく、彼にとっては最良の選択だったのではないでしょうか。
高橋大輔が歩んできたこれまでの道程
もろく壊れやすいガラスのハート

日本はおろか世界のトップに食い込む選手に成長していくその姿を見ているのはとても楽しくて嬉しくて、フィギュアスケートの魅力を彼によって何度も再認識させられました。
引退の報道で映像がトリノ五輪の演技からバンクーバー五輪の演技へ、さらにソチ五輪の演技と移っていったのを見て、「その間に男子のフィギュアスケートは大きく変わっていったなあ」といろいろなことが思い出されました。
成長と躍進、怪我

あの辛い時期を乗り越えての日本男子に初めてのオリンピックメダルをもたらしたバンクーバー五輪銅メダル、欲を言うならばあの時はもう少し時間が欲しかった。高橋大輔の100%ではなかったから。
4年に一度のオリンピック出場とメダルは本人の努力とはまた別に運とタイミングの巡り逢いがぴったりと重なった選手に幸運と栄光がもたらされる。
高橋大輔にあっては「二年ズレていたら」と思わされて、たらればでしかないとはいえそこは運がなかったのかなぁとは感じます。

- Men's Figure Skating Free Program Full Event - Vancouver 2010 Winter Olympics - YouTube
- Daisuke Takahashi Wins Men's Figure Skating Bronze - Vancouver 2010 Winter Olympics - YouTube
数字だけでは表せない何か
いつだって思うように完璧な演技ができたわけではありません。体調不良に襲われたり、ブレードのビスが外れるというアクシデントに見舞われたこともありました。
2012年、大きな大会が終わってお祭りムードの要素が強い国別対抗戦にあって、この時のフリー演技には同じ競技者である他国のライバル選手が彼の演技に心からの敬意を表して拍手と喝采を送りました。
フィギュアスケートの魅力とはまさにこれなのだと、国別で争うという大会の趣旨などどこかへ吹き飛んでいった、それを自らの演技で引き寄せた強く印象に残る演技と出来事でした。

記録と記憶に残る選手
日本男子のフィギュアスケートを語る上で外せない人といえば佐藤信夫・佐野稔・本田武史・そして高橋大輔。もちろん羽生結弦も。
彼を語る上でステップや表現力というものは欠かせないけれど、常に新しいものにチャレンジし音楽の中に繊細な動きを同化・融合させて作品として作り上げていくセンスは彼だけにしか成し得ない世界で、バンクーバーSPの「Eye」に代表される振付師宮本賢二との出会いも彼の能力と魅力を引き出してくれたものと思います。
「次は何をやってくれるんだろう」と期待感を強く持たせてくれて、そしてその期待を裏切らない・期待にしっかり応えてくれる選手でした。
脂が乗った時期だったら金メダルを獲る実力は持ち合わせていたと思っている。
「大輔は優しすぎて」と言っていた歌子先生。彼にもうひと押しが足りなかったのであればやはりそこだったのかもしれない。
ゴール間近
最後のシーズンはやはり不本意だったと思います。
個人的には道化師のようなプログラムをオリンピックシーズンで見たかったなぁと思ったけれど、あの時だったからこそあの全日本選手権の演技だったのだろうし。
自分が思い描いた理想の引き際とはいかなかったことで引退の決断もすぐにはできなかったのではないかと感じます。
スッキリ、納得できる形で引退できる選手の方が少ないのだけど、それも勝負の世界の非情。
競技でしか味わえない喜び。磨かれる技と感性。それと引き換えに競技を続けることで増してくる肉体と精神への過酷な負担。
やっと、やっと重い荷物を下ろすことができたね。軽くなれたかな。
次から次へと思い出されることもあって、ここに書き足りないことはまだまだたくさんあります。これから少しづつ思い出を手繰り寄せていくことにしましょう。
ボーカル曲解禁となった今シーズン、「オペラの声楽入りの道化師で滑る高橋大輔を見てみたかった」、真っ先にそう思いました。
これも時代の巡り合わせ。一期一会。
高橋大輔が歩むこれからの道
The Long and Winding Road
- 最後まで心優しかった天性のスケーター 高橋大輔、“3人の母”と迎えた引退|コラム|スポーツナビ
- 引退発表のフィギュア高橋大輔が演じた音楽の軌跡 ヒップホップなど取り入れた革新性を振り返る - Real Sound|リアルサウンド
- 高橋大輔のフィギュア人生とは?取材ノートに刻まれた10年間の言葉。(1/4) [フィギュアスケート特報] - Number Web - ナンバー
- 記者の目:フィギュア 高橋大輔選手の引退=芳賀竜也(東京運動部) - 毎日新聞
- 髙橋大輔|宮本賢二オフィシャルブログ「賢二流」
- 高橋大輔選手 引退|西田美和 Official Blog
- 荒川静香さん「唯一無二のスケーター」羽生「いつまでも憧れの存在」 ― スポニチ
- 【フィギュア】鈴木明子さん、大輔引退ねぎらう「魂揺さぶる記憶に残る滑り」 : スポーツ報知

高橋大輔の「道」はこれからも続いていきます。
もちろん寂しさはありますが、彼がこれからどんな未開拓の地を切り開いてゆくのか、それを楽しみにしています。
大ちゃん、お疲れ様。歌子先生、ありがとう。
しばらくはゆっくりしてね。

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以前から、時々読ませていただいていたものです。
返信削除正直、あと2年ずれていれば、それはバンクーバー後の2年、ソチ前の2年ですよね。本当にそう思います。
昨季も、ファイナル前は非常に良い演技をすることができた。ただし、今期は迷いがあった。年齢もあり、体力のこともある。迷いが生じたこともある。それが、シーズン始まりの状態でもあり、NHK杯後のケガでもあったかと。
五輪の出場とメダルは、本人の努力とは違うところにあり、運と巡り合わせが必要。まさに、その通りだと思うし、高橋選手に合っても全くそうだと同感です。
体の動きから音楽そのものを表現できる選手、彼ほどの選手は今現在も今後もいないだろうと思います。一つの時代が終わり、寂しさとともに感謝をささげたいです。
この日がいつか来ることはわかってはいたし、こうして発表されたことには驚きはなかったのですが、きっとその寂しさをズッシリと実感するのは年末の全日本選手権が始まった時なのでしょうね。
返信削除そこにいるのが当たり前だった光景がいつもと変わってしまっているその時に。
こればかりは継続を願っても誰にもどうにもできないことだから。
「(一旦引退はするけれど)もしかしたらまた戻ってくるかもしれない」
という話は勝負を度外視するのであればなくはないけど、実現の可能性は極めて低いと思われます。
アマチュア引退の届けを出さずに数年お休みして競技に復帰した選手のほとんどは数年間のブランクで「ショーで観客に見せるために滑る」と「競技として滑る」事の違いを感じてそっとフェードアウトしていくというケースが圧倒的です。
でもそういう選手たちの気持ちもわかるんですよねぇ・・・だから切なくなってしまう。
復帰の前例としてみどりの話が持ち出されていましたが、あれは当時長野五輪で上位に食い込める期待をできる選手がいなかったことで復帰させられたようなものなので、あのケースと同じにはできないけど
・・・うーん、やっぱり「引退」という形でとにかく気持ちに整理を付けたかったけれどまだ後ろ髪ひかれる思いが残されてるってことなんでしょうか。
これからの数年をどう過ごすかでまた本人の気持ちも周りの状況も変わってくるでしょうし、何をやるにしても目の前の道を突き進んでいって欲しいと願います。
後に続く選手にはしっかり道を開拓してくれたし、彼のような選手を見られたという巡り合わせには心から感謝したいです。
彼の存在でまた新たなフィギュアスケートの魅力も可能性もたくさん教えられました。