2014-11-11

2014年中国杯・羽生結弦衝突事件から何を学ぶべきか



2014年中国杯 男子シングル



男子フリー  リザルト プロトコル 最終結果


第2グループ・6分間練習


6分間練習中のハプニングで流血する羽生【坂本清】
6分間練習中のハプニングで流血する羽生【坂本清】
第2グループの6分間練習がスタート。練習中に羽生と閻涵が激しく衝突。閻涵は自力で立ち上がるも、羽生はしばらく立ち上がれず、スタッフにより一度リンクの外で治療を受ける。羽生は頭とあごのあたりから出血している様子。第2グループの選手は全員練習を中断し、リンク外に引き上げる。
頭とあごを止血した羽生が一度リンクサイドに現れる。目には涙が浮かんでいる。
羽生も他の選手とともにリンクに戻り、練習を再開するも、時よりふらついている。4回転を含めたジャンプに何度も挑戦する。
6分間練習が終了。羽生が他の選手とともにリンクを下りる。

<第2グループ>
6:ナム・グエン(カナダ)
7:アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)
9:閻涵(中国)
10:羽生結弦(日本)
11:マキシム・コフトン(ロシア)


6:ナム・グエン(カナダ)


ナム・グエン(カナダ)の演技がスタート。SPの得点は72.85点。
ナム・グエンのFS得点は149.00点(技術点80.34点、演技構成点68.66点)。SP、FSの合計221.85点で暫定トップ。


7:アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)


アレクセイ・ビチェンコ(イスラエル)の演技がスタート。SPの得点は76.96点。
アレクセイ・ビチェンコのFS得点は127.19点(技術点62.11点、演技構成点66.08点、減点1.00点)。SP、FSの合計204.15点で暫定3位。


8:リチャード・ドーンブッシュ(米国)


リチャード・ドーンブッシュ(米国)の演技がスタート。SPの得点は77.23点。
リチャード・ドーンブッシュのFS得点は149.50点(技術点72.14点、演技構成点78.36点、減点1.00点)。SP、FSの合計226.73点で暫定1位。


9:閻涵(中国)


羽生と激突した閻涵(中国)の演技がスタート。SPの得点は79.21点。
閻涵のFS得点は127.44点(技術点49.00点、演技構成点79.44点、減点1.00点)。SP、FSの合計206.65点で暫定4位。


10:羽生結弦(日本)


羽生結弦(日本)の演技がスタート。頭に包帯を巻いての出場となった。SPの得点は82.95点。
羽生結弦のFS得点は154.60点(技術点75.58点、演技構成点84.02点、減点5.00点)。SP、FSの合計237.55点で暫定トップ。


11:マキシム・コフトン(ロシア)


マキシム・コフトン(ロシア)の演技がスタート。SPの得点は85.96点。
マキシム・コフトンのFS得点は157.38点(技術点75.02点、演技構成点83.36点、減点1.00点)。SP、FSの合計243.34点で優勝。羽生は2位に入った。


総括

演技後、感極まって涙する羽生【坂本清】
演技後、感極まって涙する羽生【坂本清】
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第3戦、中国杯は8日、中国・上海で男子フリースケーティングが行われ、前日のショートプログラム(SP)で2位の羽生結弦(ANA)は合計237.55点で2位だった。優勝はマキシム・コフトン(ロシア)で合計243.41点、3位はリチャード・ドーンブッシュ(米国)で226.73点。

羽生は演技直前の6分間練習で閻涵(中国)と激突。頭部とあごから流血するハプニングに見舞われた。棄権かと思われたが包帯を巻いて出場。満身創痍の中、4回転ジャンプに2度挑むなど死力を尽くして滑り切った。

SP11位とほろ苦いGPデビューとなった田中刑事(倉敷芸術科学大)は合計189.26点で8位だった。

男子FS採点表(外部、PDF)

<関連リンク>

Pl.  NameNationTSS
=
TES
+
PCS
+
SSTRPECHINDed.
-
StN.
1Maxim KOVTUNRUS157.3875.0283.368.398.048.328.548.391.00#11
2Yuzuru HANYUJPN154.6075.5884.028.468.298.048.688.545.00#10
3Misha GEUZB149.8275.4274.407.216.967.717.617.710.00#5
4Richard DORNBUSHUSA149.5072.1478.367.867.617.897.897.931.00#8
5Nam NGUYENCAN149.0080.3468.666.756.617.047.006.930.00#6
6Keiji TANAKAJPN132.4468.0865.366.686.216.546.686.571.00#1
7Han YANCHN127.4449.0079.448.187.757.758.117.931.00#9
8Alexei BYCHENKOISR127.1962.1166.086.796.366.576.716.611.00#7
9Jin Seo KIMKOR121.0060.9461.066.295.826.146.146.141.00#3
10Yuhang GUANCHN113.9757.3358.646.295.685.825.895.642.00#4
11Yi WANGCHN103.6345.4159.226.115.645.826.006.041.00#2
スポーツナビ|実況
順位選手名国名得点
1位 マキシム・コフトンrusロシア243.34
2位 羽生結弦jpn日本237.55
3位 リチャード・ドーンブッシュusa米国226.73
4位ナム・グエンcanカナダ221.85
5位ミーシャ・ジーuzbウズベキスタン219.28
6位閻涵chn中国206.65
7位アレクセイ・ビチェンコisrイスラエル204.15
8位田中刑事jpn日本189.26
9位キム・ジンソkor韓国183.46
10位関宇航chn中国177.66
11位王一chn中国160.92





心配された怪我の診断結果は


診断名:頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫
    全治約2から3週間を要する見込み
羽生選手のコメント:
「昨日帰国後、病院へ行き精密検査をおこないました。
皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいですが、まずは、ゆっくり休み治療したいと思います。
今後のスケジュールについては、ケガの回復具合をみながら検討したいと思います。」



ハン・ヤンは大事には至らなかったということではありますが、今後も定期的に検査を受けて何かおかしいと感じたら無理はしないでもらいたい。
ゆづは満身創痍。脳震盪ではないとのことですが、それを疑われる状況の中であれだけ無茶をしたのだから今後に響かないとは言い切れない。
しばらくは心身ともにじっくりと療養してもらいたい。そしてその間に考えてほしい。


衝突事件が引き起こした波紋




中国杯終了から様々なメディア・媒体でこの衝突事故に関する報道がされています。
あまりにも多くてすべてを拾うのも読むのも不可能ですので、いくつかだけピックアップしてここに掲載しています。

これはもうフィギュアスケート界だけの問題ではなくなりました。衝突したのが金メダルを獲って大いに注目を集める選手と地元中国の若き有望選手。
金メダリストとしての責任感とアスリートとしての本脳。その有り余る情熱を周囲が誰も止められずに強行出場。
賞賛と疑問の声が飛び交う中、この代償は今後どういう形で現れてくるのだろうか。


伊藤みどり衝突事件について


今回の事件を伝える報道で過去の衝突事件として取り上げられているのは

  • 2008年全日本選手権フリー6分間練習 安藤美姫と村主章枝
  • 2010年GPF前日の公式練習 高橋大輔と小塚崇彦

の例がほとんどのようです。記憶に新しいところでは一昨年・2012年中国杯男子フリー6分間練習でナン・ソン(中国)とアダム・リッポン(アメリカ)による同様の衝突がありました。


今回の中国杯での衝突事件があった直後から、2011年02月15日に書いたこの記事へのアクセスが急激に増えています。
マスコミは報じなくてもみどりの1991年ワールドでの衝突&リンク外飛び出しはフィギュアスケートファンにはよく知られている事件ですし、みどりが活躍していた頃を知っている人であれば記憶に残っているかもしれません。
詳細は上記の記事をご覧になってください。今ここで書くのは最低限の内容で留めておきます。


今回の事件とは異なる時代背景と状況



上記の記事に書いてある内容と被りますができるだけ手短に。


あの動画をアップした当時は衝突シーンとリンク外に飛び出した演技それぞれ別の動画しかありませんでした。衝突シーンだけなら衝撃のアクシデントとして興味本位に受け取られかねない、リンク外に飛び出したシーンだけなら人によっては笑われておしまい。
そうなってしまった背景が抜け落ちたまま歪曲されて伝わるというのはみどりファンとしてとてもとても耐えられないことでしたので、演技後にドクターに抱えられて病院へ向かうところも含めて一連の流れをくっつけてアップしたのです。

あれからさらに数年経って動画は現在までなんとか生き残っていますが、コメント欄も主に英語で熱い議論が交わされて凄いことになってるし、アップした当初からはすっかりどこか別のところに行ってしまった感があります。

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あの頃は日本人選手で世界で戦えるのは全種目含めて伊藤みどりだけしかいなかったし、彼女一人にのしかかる期待と背負わされた責任は半端でないほど大きく重かったのです。
あの衝突事故はオリジナルプログラム(現在のSP)での6分間練習で起こりました。すでに同様の衝突を何度かしていて「当たり屋」とまで言われたフランスのレティシア・ユベールと衝突。
あの時の事を「わざとじゃない」とは言い切れないのはあの動画に映っている様子と、フランス陣営の態度と、一年後のアルベールビル五輪公式練習でのスルヤ・ボナリーのバックフリップ威嚇行為と。

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フェンスに強く打ち付けられてスケート靴に穴が開くほどの衝突、演技は目前。直後は勢いで滑れても翌日のフリーは痛みが増してやはり思うようには滑れなかった。棄権できなかった(できる状況になかった)のは翌年のアルベールビル五輪の枠取りがかかっていたから。背負わされているものがあまりにも大きかった。


断っておきますが、私は関係者でもなければこの試合を現場で見たわけでもないただの一ファンに過ぎません。ある程度はこの時代のフィギュアスケートを見てきた者として、伊藤みどりのファンとして書いております。
みどり本人は他選手を批判したり悪く言うようなことは決してしない選手です。



改革するのは今しかない


この事件から何を生み出せるのか、これからの課題は



ここ数年のフィギュアスケートブームでアマチュア選手は試合・アイスショーとあまりにも多く滑りすぎて体を酷使していると危惧していました。特に日本人は生真面目すぎる。勤勉で責任感が強い日本人特有の性格が今回の事件を引き起こしてしまったようにも思える。

国内の競争が激しい日本人選手にとってはGPSも大事な試合。他国の選手・関係者にとっては「金メダリストがGPSごときでここまで必死にならなくても」と思われても事情も考え方も変わってくる。

『名前をコールされてから演技するまでの時間が1分から半分へ』という極端な短縮になった30秒ルールみたいなのはパッと決められてももっと深刻に考慮されるべき別の問題は長年変わることがない。時代とともに選手の技術は進化し続けているというのに、大事な部分がおざなりにされた結果、今回の事件に繋がってしまったのではないだろうか。

ソルトレイクシティの疑惑の判定の時には採点方式を見直した大改革が出来たのだから、6分間練習のグループ分け人数を減らす・専属ドクターを常備させて健康管理を徹底するくらいのことは早期にできるはずです。時間短縮よりも安全面を重視・優先させるのは当然の義務。


冷静な判断が出来ない状況であるのなら冷静な判断が出来る人が必要



事故直後は気持ちが異様に高ぶってアドレナリンが出てるから思っているよりも体が動くことがある。だから「大丈夫?なんともないの?」って聞かれてもつい「大丈夫大丈夫」って答えてしまうんだよ。本当は大丈夫なんかじゃないのに。後で痛みや後遺症がドカッと押し寄せてくるかもしれないなんてその時はわからない。

でも、周囲が出場取りやめを説得して欲しかった。どんなに本人の出場意思が固くても這ってでも出場をやめさせるべきだった。アメリカチームのドクターにその権限がないのであればオーサーが頑としてやめさせてもらいたかった。

そう書いてる自分もあの事件直後は興奮状態。きっと画面に映らないところで周囲は相当ゆづが出場しようとしているのを咎めたに違いない。稔も弟弟子のああいう現場を目の当たりにして、放送の電波に乗せられていることでいつもの居酒屋口調とはいかなかった。
それでも私はゆづが滑りきったことを「男」とは思わないけど。

私は感動はできない。賞賛もしない。感動の涙ではなく、悔しくて悲しくて腹立たしくて泣けた。ゆづを英雄視するつもりはまったくない。かといってバッシングするというのとは違うということもわかっていただきたい。

日本に帰ってきた稔が番組に呼ばれているのをいくつか見たけど、現場に居合わせた者として、日本男子の歴史を作った先駆者として、スケート連盟の一員としての立場で今伝えられること・提案は稔なりにやっていたと感じました。「オマケ」等の誤解を与えかねない口調は稔節、一部の言葉尻を拾い上げて歪曲ばかりするのではなく視野を広げてもっと全体を見て欲しい。
「佐野稔だからできること」を真剣に取り組んでやっていただきたい。長年現場に携わってきて日本初のプロのアイスショーを作り上げた情熱と行動力のある人だもの、きっと何かできるはず。今変えなければ。

少し前から稔や荒川さんを酷く詰る内容のものが時々目に入ってしまっては自分もムチで打たれているかのように感じていました。
そこまで口汚く罵り叩くことはその人の人生・生活にとって必要なことなのだろうか。欠かせないことなのだろうか。叩くことで何が変わるというのだろう。
今回の点数と結果に関しては疑問も残りますが、選手や関係者に対するバッシングの感情をお持ちの方は当ブログでは取り扱っておりませんのでどこか別の場所でなさってください。


終りに



「ハン・ヤンが故意にぶつかったのでは」というのはどこからあがった声なのでしょう。「お互い真剣勝負の中にあってそんな無意味でバカげたことは100%ありえない」とここで申しておきます。
オリンピックの金メダル効果と反響は良くも悪くも凄まじい。マスメディアの報じ方でこの競技をまだよく御存知無い人々に偏ったイメージを植え付けた結果そうなったのだとしたら。
国に対する対立感情からこの事件に便乗してそのような負の憶測を持ち出しているのであれば、この競技に対する知識も持ち合わせないで安易にこの事件を利用しないでもらいたい。断じて。
(エン・カン呼びで酷いことを書いてる人は普段見てない人だってわかりやすい)

マスコミの報道の在り方が非常に問われるところであります。


今回の事件でフィギュアスケートは『単なる美を競う競技』でも『アイドルのコンサート』でも『王子様祭り』でもない、これは紛れもない肉体精神を極限まで酷使したハードなスポーツなのだということを特にソチ五輪前後にファンになった方には感じてもらえただろうか。

おそらく棄権となるであろうNHK杯のチケットを入手した方の中にはゆづ目当て・初観戦といった方も多いかと思われます。
どうかそのチケットは無駄にしないでください。ゆづがここまで情熱を注いでいるこの競技をじっくり観戦できる貴重な機会を無駄にしないでください。試合会場で新しい発見と感動をぜひ見つけてください。

一フィギュアスケートファンからの切なる願いです。


ゆづはあの時「死ぬまでやる!」と言ったそうだけど、本当に死んじゃったらこの競技も死ぬよ。金メダリストの責任・使命は死ぬまで戦うことではないよ。

ゆづ、自分を大切にすることは周りみんなを安心させるってことなんだよ。君が笑顔で滑ることこそが君を応援してくれてるみんなの幸せになるんだよ。
負けず嫌いだけでは世の中は通用しないこともあるんだってことを少しは考えてわかってほしい。

もっと自分を大切にしてくれよ!!!
何かあってからでは何を言っても遅いんだよ!!!





2014年11月27日 追記



羽生結弦選手のNHK杯出場が正式に決定しました。
非公開練習を終えてギリギリまで状態を見てゆづ本人・オーサーコーチ・帯同ドクター・スケート連盟で判断して出した結論であり、ドクターの問診と医学的所見で問題ないと判断されたということです。
短い練習風景を見た限りではきれいにジャンプを決めていましたし、その点では安心しましたが、本番の試合で滑るとなるとまた別問題。なにせ怪我が治りきっていない状態で練習を再開してわずか一週間。強行出場であることには変わりありません。

体力面を考慮して、SPは演技後半の4Tを前半に移し、フリーは4-2を回避するそうです。とはいっても今シーズンはかなり高難度な構成になっていたので、これでも今の彼にはハードな内容であることには変わりありません。





伊藤みどりさんのお言葉



発売中の雑誌であればこのようなことはしませんが、現在は次の新しい号が発売になっておりますので、AERA No.51に掲載された記事の中から伊藤みどりさん自身が体験した衝突事故についての貴重な談話をここに掲載致します。


伊藤みどりさんが語った衝突事故と選手の思い
エースとしての責任感で棄権は考えられない

 フィギュアスケートは、その見た目の美しさとは裏腹に、危険なけがの可能性をはらむ競技です。1991年にミュンヘンで行われた世界選手権では、私自身も衝突事故を経験しました。ショートプログラムの前の6分間練習中にフランスの選手と接触。左脇腹を強打したうえ、相手のエッジが私の左足の靴に突き刺さり、その勢いでフェンスに激突しました。お腹を打ったことで呼吸ができなくなり、しばらくは立ち上がれなかった。今回の羽生選手と同じです。
 フェンスにつかまって立ち上がると、脇腹と左足に激痛が走りました。でも、試合に向けた緊張状態で集中もしていますから、けがの程度や痛みの具合を判断することができません。「靴を脱いでしまったら痛みが増して、再び履くことはできなくなる」と思ったので、治療を受けずにそのまま出場することを選びました。
 羽生選手もそうだったと思いますが、事故の直後は興奮状態に陥りますから、自分の足で立つことができる限り、棄権しようとは思わないでしょう。私も棄権は全く考えませんでした。もちろん結果は、演技中にリンクの外に飛び出してしまうなど、不本意なものでした。
 日本チームは当時も医師を同行させていなかったので、海外チームの医師や大会の医師が私の傷の応急処置をしてくださいました。現地の救急病院で診察を受けると骨折はなく大事に至りませんでしたが、けがの程度も分からずに出場したのですから、いま思うと恐ろしいことです。
 当時も、けがした選手を強制的に棄権させたり、演技時間、演技順を遅らせたりするルールはありませんでしたが、驚くべきは、23年たったいまも、その状況に変わりがないことです。
 五輪前年の世界選手権での衝突でしたので、エースだった私には「五輪の出場枠を獲得する」という使命もありました。羽生選手にも、エースとしての責任感があったのではないでしょうか。
 競技の発展のためにも、けがや事故に対する明確な規定を整備する必要があるでしょう。


(談)


先週土曜日に放送された「関ジャニの仕分け∞」という番組内でノブナリがこの時のリンク外飛び出し部分を『ジャンプ力がすごすぎてコースアウトする“伊藤みどり”』として取り上げていてみどりの伝説の演技だと力説、スタジオゲストとして同席していたみどりちゃんはニコニコしてはいたけれど、それ以上のことは自分からは触れなかった。そしてノブナリもそれ以上は説明しなかった。

ノブナリがみどりを尊敬しているということはとてもよく伝わるし、自分とみどりの(撮影角度の違う)3A動画を並べて高さを比較するだなんて、君も立派な選手だったんだからそこまで自分を卑下しなくたっていいんだよって思ったけれど。
そもそもあの番組は中国杯の衝突事件の前に収録されたようにも思えるし、あの場でみどりの衝突事故を語ったところでバラエティ番組の空気には合わないだろうという想像もつく。
だったらやっぱりノブナリとはいえどもリンク外飛び出しだけを取り上げるようなことはしてもらいたくなかったんだ。みどりの偉大さを語るのにその演技(事件)でなくてももっと別の伝説の演技はたくさんあるはずなのに。リアルタイムでは知らなくても同じ世界にいれば衝突事件を知らないはずはないのだから。
いつもこの事件に関しては深く語ろうとしない、語っても「飛び出しちゃいましたからねっ」なんておどけてしまう彼女だけど、本当の姿・気持ちがここには語られていました。
「結果は、演技中にリンクの外に飛び出してしまうなど、不本意なものでした。」と。


話をゆづに戻しますと、AERAでの野口美恵さんの書かれた記事はあの現場での状況と、選手が怪我をした場合の対処を今後どうすればいいかなどの問題提起等がフィギュアスケートに関わっているライターの視点でしっかり書かれた内容でした。
その中に出てくるみどりの言葉として
「現場に日本の医師がいなければ、日本語での治療が受けられません。予算の問題などもあるでしょうけれど、海外の試合への医師の帯同を検討してほしい。選手は無理にでも出場する傾向がありますから、脳震盪が疑われるケースでは、強制的に棄権させるような基準も必要でしょう。」
と、体験に基づく提案が語られています。


11月28日 追記
上記の談話が抜粋でWEB記事になっていましたが、最後の部分が抜けていますね。




答えが見つかりません



中国杯から約3週間、あれからずーっといろんなことをたくさんたくさんたくさん考えてきました。考えさせられました。
社会問題化していてあまりにも多くの議論がなされ、各分野の有識者の見解なども出され賛否両論が渦巻く中、私の胸を深く突き刺したものもありました。
それが正しいのかどうかもわからない、自分が正しいのか間違っているのかどうかもわからない、そして今まで自分がここで語ってきたこと全てが間違っていたのだろうかとさえ思えてきて、あまりにも考えすぎてこの先ブログを続けていっていいものかどうかというところまで頭を過ぎりました。


今回の事件の何が正しくて何が間違っていて何が正義で何が悪で何が偽善なのか、答えは彼が棄権するであろうと思われたNHK杯に出場することが正式に発表された今もわかりません。見えてきません。

答えはないのかもしれないし無理に出す必要もないのかもしれない。
彼も今日この決断に至るまでに自問自答を繰り返してきたことと思う。彼なりに答えを導き出そうとしていたのかもしれない。

でも行き着いた今の答えは「リンクの上で今のありのままの姿を見せること」だったようだ。

私も今は答えが見つからずにいるけれど、迷いながらもその時その時の気持ちをここに綴っていくことにします。
ここを見てくださる皆様の中には「それは違うんじゃないの?」と感じることも当然あるかと思いますが、それは「他者をコントロールしたい欲望」などというものでは決してないということだけは理解していただきたく存じます。

私も人間ですし、ブログという性質上感情が顕になって行き過ぎた言葉になってしまうこともあるかもしれません。自分の考えを人に押し付けようなどとは思っていませんが、もしそう受け取れるような傲慢さを感じたら遠慮なくお叱りくださいませ。

まだまだ至らないブログとブログ主ではありますが、これからも回転木馬なりの愛情でフィギュアスケートを見続けていきたいと思っております。
これからもどうかよろしくお願いいたします。


ゆづがこれ以上怪我を悪化させませんように。無事に滑り終えられますように。成績よりも今はそれを一番に祈るばかりです。



2014年12月04日 追記



NHK杯以降の事はNHK杯男子記事およびNHK杯エキシビション記事で触れてありますが、衝突事故のもうひとりの当事者ハン・ヤンのインタビューはこの記事の方が適していると思い、ここに掲載させて頂きます。



3 件のコメント :
  1. いちファン2014/11/14 14:25

    初めまして。いつも興味深く拝見させてもらってます。今回の件全く同感です。周りの色々な事情もあるのでしょうが近くにいる大人達にはしっかりしてもらいたいです。いつも羽生選手はしっかりして大人だなぁ~と思ってましたけどやっぱりまだまだ子供でした。今回の件で本人も変わってくれればいいけど。。。本当に怪我なく選手生命をまっとうしてほしい。。今は切にそれを願います。。

    返信削除
  2. こんばんは。コメントありがとうございます。

    あれからいろんな事を考えていろんな事を考えさせられて、でも答えがどこにあるのかが見つからなくて悶々とした日々が続いています。

    カメラに映らないところで何があったのかわからずに、切り取られた報道だけで憶測で決めつけてしまう怖さ。

    オーサーは結局ゆづが出ていくのを制止できなかったけれど、演技を終えた後キスクラへ行かせずに怪我の手当てを受けさそうとしたのだそうです。
    キスクラに座らなければ罰金を課せられるけど、そんなものはユズルの安全には変えられないと。
    でもゆづはファンに安心してもらうために姿を見せたいと。

    そんなゆづにオーサーは「ユズルは馬鹿だ。でもそんな君を誇りに思う」と。
    ただ単に「ユズルを誇りに思う」だけだったら(当初はそういう報道でした)「えー、オーサーが止められなかったのにそうなっちゃうわけ?」って思ってしまうのだけど、そこが切り取られた部分だけでは伝わらないところですよね。

    でもゆづはやっぱり若造で馬鹿だと思います。
    特に震災の後からの彼は自分の中に必要以上に重荷を背負いすぎてる。
    なぜそこまでしなくちゃいけないのかと思わされることがある。
    今回の事件は「情熱だけでは通らないこともある」のだと彼にはもっと深く考えて感じてもらいたいです。

    記事の中には追加したくないのでここで。
    フィギュアスケートは『アイドルのコンサート』でも『王子様祭り』でもない、って書いたんですけど、これが現実でした。

    羽生君のアスリート魂と、運命の競技との出会いについて : 大手小町 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
    http://www.yomiuri.co.jp/komachi/plus/spice/20141113-OYT8T50131.html



    現実の中のほんの一部だと思いたいけど、情けなくて悲しくて絶望的な気分にさせられました。

    返信削除
  3. 一昨日ここに投稿されたコメントに関しまして、このような記事内容であることから様々な意見もあるからと考えた末、一度は承認・返信をしました。
    2日間考えて、
    初訪問での挨拶として最初に使われた言葉・全体を通しての言葉遣い、
    自分の言葉というよりは他記事を引用しての意見の主張、
    当記事を違う方向に解釈した罵倒の内容は負の連鎖を招くだけだと判断して削除させていただきました。

    至らない点があれば進言していただけるとありがたいですが、諭していただけるのと罵倒はまた別です。
    昨年から承認制に切り替えた事情を察していただきますよう、これからもよろしくお願いいたします。

    返信削除

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